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講師のブログ・Q&A

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    41歳
    米ハーバード大学大学院/東京大学大学院 Harvard Graduate School of Education/ 東大人文社会系研究科

ハンドルネーム:HGSE2020さんのブログ

思春期のイライラ2つ

(脳科学、教育心理学、発達心理学的見地から)
HGSE 2020 (大学教員、ハーバード大大学院、東大大学院人文社会系研究科修了)


まず大前提として、子供には自我 egoが存在します。これは子供が「自分はこうだ」と思っている自分自身のようなものです。よくアイデンティティと言われることがありますが、そのようなものです。

この時にその自我は、特徴として、「主体性」「同一性」「統一性」といった区別を持ちます。自分は自分だ、行為しているのは自分だ、他でもない自分だ、自分は矛盾していない、といった感覚です。

この特徴が崩れてしまうと、(思春期にはよくあることなのですが)心の病と呼べる状態になります。例えば、「右手をあげているのは自分では無い気がする」となってしまうと、主体性の機能が損なわれているので、自我がうまくいっていないことになります。これらがひどくなると、思春期この特徴が崩れてしまうと、(思春期にはよくあることなのですが)心の病と呼べる状態になります。例えば、「右手をあげているのは自分では無い気がする」となってしまうと、主体性の機能が損なわれているので、自我がうまくいっていないことになります。

この自我は、環境と接触します。思春期の代表的なものは「受験」そして「恋愛」です。その他にも部活動等があります。

そこで自分の自我が環境と接触して、うまくいかないときに、イライラが生まれてきます。例えば、自分の自我の中ではスポーツができてレギュラーになれるはずなのに、ベンチに回されてしまった、と言うのは1つの具体例ですね。

そこで自分の自我が環境と接触して、うまくいかないときに、イライラが生まれてきます。例えば、自分の自我の中ではスポーツができてレギュラーになれるはずなのに、ベンチに回されてしまった、と言うのは1つの具体例ですね。この時に生じるイライラは1つ目の代表です。

このような時に現れるのが防衛規制(サイコロジカルディフェンスメカニズム)です。心が防衛を働かせて、「レギュラーになれなかったのは自分のせいじゃなくてコーチのせいだ」などと考えます。これは心の自然の働きですが、行き過ぎると環境とのズレがますます大きくなってしまいます。

もう一つのイライラは、それまで思っていた自我が、実は本当の自我では無いのだろうと言う思いのことです。これは心理学では例えば自己(セルフ)と呼ばれることがあります。フロイトだと、エスと呼ぶと良いですね。脳科学だと、前頭葉(前頭前皮質)が自我であるのに対して、大脳辺縁系が自己に相当しますね。

これには親が関与している場合がとても多くて、親がそれまで、勉強熱心に育てた場合、その子の深いところには、勉強以外のものを望む思いが強くあり、それが特に思春期前期に、自己が自我を攻撃する形で出現するといったものです。
これは世界3大心理学者の1人のユングが述べたシャドウ(影)と言う概念ですね。これは思春期前期にとても多く見られて、多くの場合は保護者またはそれを投影した教師や大人社会に対する全面的な反発と言う形で出現します。発散できる場合はまだ良いのですが、親が厳しすぎたりする場合は、内的にエネルギーを発散してしまうので、精神的に不調をきたしてしまうことにもなります。

こういう時にどう対処するかは複数の方法があるのですが、とにかく大切な事は、特に保護者がそのイライラの原因をよく考えてあげることです。保護者は特に、自分がそれまで与えてきた子供のアイデンティティーを否定するのがとても苦しいので、なかなか認めようとしない傾向にありますが、子供のイライラは自我と環境の不適合または、自我と自己の不適合と考え、そこには自分にも責任があるのだろうと思って対策を講じなければなりません。それを受け入れない場合は、勉強のパフォーマンスなどが落ち続けます。無理に勉強などをさせた場合は、心身症や転換ヒステリーになることも頻繁にあります。これは、不登校の原因の1つではありますが、圧倒的に多いわけではありません。

このような症状がご家庭で出てきたら、注意してくださいね。相談していただいても結構です。お読みいただいてありがとうございました。