中学入試の特徴を見誤らないために
試験で評価しようというとき、大きく分けて加点法と減点法があります。
小学校の教室でのテストはほとんどが減点法です。
出題されるのはきわめて簡単な最小限のことであって、授業にだいたい対応できていれば満点が普通でしょう。
満点に届かない部分があればそこを見直しましょうねという注意喚起にもなります。
それに対して中学入試ではレベルの高い選抜ほど加点法の発想でつくられています。
平均点があまり高くならないように工夫され、学力に応じて段階がつくようにすると自然にそうなってくるものです。
ですから、逆にあまり競争の厳しくない学校ほど平均点は高い傾向があります。
学力の高いグループに減点法の試験を課するとだいたいうまくいきません。
より深く学ぶ子にプラスアルファがつきにくくて何とかあちこち覚え込んだレベルでも同じ点数になりかねないからです。
この特性を把握せずに「穴をさがして埋める」式の勉強をさせたがる指導者やご両親をよく見かけます。
これは見た目以上に危うい方向付けで、上位校になればなるほど通用しません。
多くの場合「ちょっとできているところをより徹底的にできるようにする」ほうが有効です。
穴があると主張できるほどたいていの生徒はできてはいないんですよ。
大胆に、知性の厚みを作って勝負するほうが合理的です。