中学受験の過去問対策④
首都圏の中学入試スタートまで、あと1ヶ月となりました。
過去問や模試の得点状況を細かく分析したうえで、日々の効率的な学習につなげたいところです。
さて、算数の過去問の取り組み方についてです。
「解いて〇×つけただけ」「答えを丸写し」という状況からいかに脱却し、学習効果を高められるかがカギです。
ただし、以下の②③のプロセスについては、最初はご家庭の方や家庭教師によるサポートが必要な場合も多いと思います。可能な範囲で取り入れていただけると幸いです。
①解いた直後に…
まず時間厳守が鉄則です。解答時間が終わり次第すぐに鉛筆を置くクセをつけましょう。
そのうえで「時間があれば解けそうな問題」に挑戦します。それで解ければ時間管理を改善すればもっと得点できるということが実感できます。ただし、延々と調べたり計算したりしつづけるのは非効率ですから、この挑戦は20分~30分が限度です。
②解説を読む前に…
まず解答のみを見て、〇か×かをつけます。自分の答案と正答とを見比べて気づくことはないか考えます。わずかに数値が違えば、計算ミスか調べ上げの漏れかもしれません。周りの長さを求めるはずが、面積を答えていたことに気づく場合もあります。円周率のかけ忘れや÷2を忘れていたことに後悔する場合もあるでしょうし、何らかの理由で比を逆にして答えていることもあるでしょう。正答の数値と自分の答えとを比較したうえで、もう一度問題に向き合うと気づかされることがあるはずです。そこで気づいたことを青ペンでメモしておくとよいです。
③解説を赤ペンで写すよりも…
塾の先生の指示もあるのか、過去問の本に載っている解説を赤ペンで丸々写しているお子様も散見されます。しかし、それが学習効果を生んでいるのを見たことがありません。それは写すことが目的化しており、本人の思考が全く伴っていないからです。解説は丸々写すのではなく、「ここに気づいていなかった」というポイントに線を引くようにすべきです。または、「○○に気づかなかった」「○○の解き方を忘れていた」などの気づきや反省を、解説の要旨とともにノートにメモしておくべきです。そのうえで、「解説を読んだけど、解説のここがわからない」と塾の先生や家庭教師に質問できるようになればすばらしいです。
次に、答案の得点状況の分析です。
どの分野ができているか/できていないか、合格のために何を取り組むべきか、どれを「捨て問」にすべきかを考えます。これらの分析・アドバイスをしっかりとしてくれる塾の先生や家庭教師が信頼できると思います。
①大問ごとの分析
一部の難関校を除き、多くの学校で大問数は5~6個です。
その場合は大問1が計算問題、大問2が一行問題、大問3以降が応用問題という形になっていることが多いです。
大問3以降はそれぞれ「平面図形」「速さ」「場合の数」等々の分野別出題になっていますので、どの分野が得点できている/できていないかがわかります。解いた後、解答用紙にどの分野の問題かを青ペンで記入するとわかりやすいです。
多くの学校では、大問1と大問2を概ねミスなく解ければ、大問3以降は半分程度の正答で十分合格します。それがまずは目標とする目安ですので、その目安と比べてどうなのか、全滅してしまう大問はないかをチェックします。全滅する大問の分野・単元はご本人の弱点と言えますので、強化すべきポイントとなります。
②年度をまたいだ分析
学校によっては、最後の大問に必ず立体図形が出題されるなどの傾向があります。その場合、出題頻度が高いものについては、塾の総まとめ教材などを利用して演習量を確保する必要があります。逆に、場合の数や角度がほとんど出題されない学校もありますので、そういう場合は学習の優先順位を下げることができます。
③「捨て問」の見極め
同じレベル(偏差値帯)の学校でも、入試問題の難易度は異なります。
合格点が高い学校(65~70点が合格ライン)は平易な問題が多く並んでおり、逆に合格点が低い学校(55~60点が合格ライン)は難問が多く並んでいます。
ニュートン算や立体の切断・くり抜きなど難度の高い問題が出題されていても、それが合格点突破のために解く必要があるかを検討する必要があります。捨てても合格ラインに達するのであれば、あえてそのための学習をせず他の単元を固める方法をとることもできます。